【論  文】

強制通気自動攪拌式発酵槽による大型コンポストプラントで製造された牛ふんコンポストの腐熟度と微生物群集の関係
加 藤 孝太郎*・亀卦川 和 宏*

【要 旨】 強制通気自動攪拌式発酵槽を用いた一次発酵と,堆積法による二次発酵とを組み合わせて良質のコンポストを製造している大型プラント(エコハーズプラント)から,製造過程に沿って牛ふんコンポストを採取し,理化学および生物学的パラメーターの分析とリン脂質脂肪酸(PLFA)分析による微生物群集解析を行った。単位重あたり微生物バイオマス量は5日目に最大となり,その後減少した。微生物の多様性は10日目まで減少した後に急増し,20日目以降一定になった。微生物群集は,発酵槽による一次発酵過程ではグラム陽性細菌が,堆積法による二次発酵過程では放線菌や嫌気状態に関連する細菌の変化が大きかったことが示唆された。グラム陽性細菌のバイオマーカー脂肪酸の割合とコマツナ発芽率の間には高い正の相関があり,本プラントで製造された牛ふんコンポストにPLFA分析による腐熟度判定が適用できることが示唆された。

キーワード:コンポストプラント,リン脂質脂肪酸(PLFA),微生物群集,腐熟度,コマツナ発芽試験
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.6, pp.374-381, 2007
原稿受付 2006.12.16  原稿受理 2007.8.8
* (財)微生物応用技術研究所
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(財)微生物応用技術研究所  加藤孝太郎