【調査報告】

一般廃棄物処理施設における労働災害事例解析
若 倉 正 英*・清 水 芳 忠*・荻 原   瑠**・三 宅 淳 巳**

【要 旨】 一般廃棄物処理施設における労働災害の発生状況を,日本廃棄物処理施設技術管理者協議会が継続的に実施しているアンケート結果に基づいて解析した。廃棄物処理工程での労働災害発生率は全産業平均の7倍以上であり,安全化の推進は緊急の課題である。廃棄物処理施設別に事故の起因となった設備機器,作業,発生原因を,事故の種類や負傷者の重篤度により分類し,非定常作業での安全上の問題点,施設や設備機器ごとの潜在危険性を整理した。また,労災事故多発の背景にある組織要因や管理運営要因などを明らかにするため,廃棄物の取り扱いでの典型的な死亡事例について,根本原因分析を行った。その結果,廃棄物処理工程では安全の基礎である管理者,作業者の安全意識の不足が,事故の根本的な要因であることなどが明らかになった。また,一般廃棄物処理での労働安全活動が産業廃棄物処理業に比べて,低調であるなどの問題点も示唆された。

キーワード:廃棄物処理,一般廃棄物,労働災害,薬症,中毒
廃棄物学会誌,Vol.18, No.6, pp.382-391, 2007
原稿受付 2007.5.23
* 神奈川県産業技術センター
** 横浜国立大学大学院 環境情報研究院
連絡先:〒243-0435 海老名市下今泉705-1
神奈川県産業技術センター  若倉 正英