【論 文】
アンケート調査による北海道の畜産農家における家畜排せつ物適正処理の現状分析
谷 川 昇*・古 市 徹*・石 井 一 英*・清 水 心 太*
【要 旨】 北海道の3地域の牛を飼養している畜産農家に対するアンケート調査によって,家畜排せつ物の取り扱い,自動撹拌式堆肥化施設とバイオガス化施設に対する認識等の現状分析を行い,家畜排せつ物の適正処理と有効利用を推進する際の課題とその対応策を明らかにした。
家畜排せつ物法に適合する管理施設(以下,適合管理施設とする)内で家畜排せつ物を単純保管しているとみなせる畜産農家の割合は約30〜60%であったこと,適合管理施設内の家畜排せつ物を農地に散布するまでの間,一時的に野積みする畜産農家が約30%存在していたことから,適合管理施設の一層の有効活用と適合管理施設外での家畜排せつ物の適正管理の必要性が明らかとなった。
また,自動撹拌式堆肥化施設とバイオガス化施設を畜産農家が導入する可能性はほとんどないのが現状であり,今後の両施設の導入促進には,それらの利点・費用・手間等の詳細な情報が重要であることがわかった。
キーワード:家畜排せつ物,適正処理,アンケート調査,堆肥化,バイオガス化
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.6, pp.392-399, 2007
原稿受付 2006.11.13 原稿受理 2007.8.23
* 北海道大学大学院工学研究科 循環計画システム研究室
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北海道大学大学院工学研究科 循環計画システム研究室 谷川 昇