【論 文】
n-ヘキサン,イソプロパノール,メタノール中でのヘキサクロロベンゼンの光分解速度および経路の比較
山 田 信 吾*・内 藤 勇 太*・高 田 誠*・中 井 智 司*・細 見 正 明*
【要 旨】 POPs指定物質であるヘキサクロロベンゼン(HCB)の光分解反応における溶媒の影響を評価するため,ヘキサン,IPA,メタノールを用いて光分解速度および分解経路を比較した。HCBの分解は還元脱塩素化で進行しており,一次反応で近似することができた。分解反応速度定数はヘキサン中で0.55min-1, IPA中0.48min-1, メタノール中0.37min-1であり,メタノール中で最も遅かった。光分解生成物を経時的に追跡し,脱塩素化分解の主経路をHCB→P5CB→1245-T4CB・1235-T4CB→124-T3CB・135-T3CB→13-D2CB・14-D2CB→MCBと提示し,いずれの溶媒中においても主経路は一致していた。ヘキサン,IPA,メタノールの3種の溶媒は分解速度に影響を及ぼすものの,分解経路に与える影響は認められなかった。
キーワード:紫外線照射,逐次脱塩素化,溶媒効果
廃棄物学会論文誌,Vol.18, No.6, pp.426-433, 2007
原稿受付 2007.1.20 原稿受理 2007.8.28
* 東京農工大学大学院工学府
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東京農工大学大学院工学府 山田 信吾