【論  文】

最終処分場におけるコロイド溶液を用いた自己修復型ライナーシステムに関する実験的検討
川 口 光 雄*・古 市   徹*・谷 川   昇*・石 井 一 英*

【要 旨】 遮水シート破損時に単純な管理で修復状況および修復の確認が同時にあるいは連続して行える自己修復システムの必要性を示し,二重シート内に水分散コロイド溶液(スメクタイト系粘土薄板状結晶のコロイド粒子からなる懸濁液)を充填した自己修復型ライナーシステムを提案した。また,重量比3〜5%のコロイド溶液を用いて3種類の室内実験を行い,システム実用化の可能性を示した。
 コロイド溶液中のコロイド粒子分散の長期的な継続性について,密度の経時変化測定から分散状態が安定的に持続することを確認した。
 コロイド溶液の二重シート内での流動性能について,二重シート内をほぼ水と同様に充填および還流できることを確認した。
 シート破損時には,保護土や遮水工下地に泥膜および浸透沈積層が形成され,遮水機能が回復されることを確認した。保護土としてまさ土を使用した場合,遮水性能を締固め度で管理できることを示した。

キーワード:ライナーシステム,コロイド溶液,コロイド溶液の密度変化,遮水機能
廃棄物学会論文誌,Vol.19, No.1, pp.72-79, 2008
原稿受付 2007.5.25  原稿受理 2007.10.30
* 北海道大学大学院工学研究科
連絡先:〒060-8628 札幌市北区北13西8
北海道大学大学院工学研究科  川口 光雄