【論 文】
安定型最終処分場の分類による削減された最終処分費用と潜在的な環境修復費用の推定
土 田 大 輔*・中 山 裕 文**・島 岡 隆 行**
【要 旨】 本研究では,安定型処分場が分類されたことによる,削減された最終処分費用と潜在的な環境修復費用を推定した。削減された産業廃棄物の最終処分費用は,安定5品目の埋立量および安定型処分場と管理型処分場の処分単価から求めた。潜在的な環境修復費用は,安定型処分場における不適正処分の修復費用とし,過去の不適正処分事例から推定した。推定の結果,1977年度から2003年度までに削減された最終処分費用は4兆3,030億円となった。潜在的な環境修復費用は,修復方法が全量撤去の場合は1兆717億円,部分撤去の場合は5,371億円と推定された。したがって,正味の削減された最終処分費用は3兆2,313億円または3兆7,659億円となり,安定型処分場が分類されたことにより削減された最終処分費用は,潜在的な環境修復費用を考慮すると4分の3程度になると考えられた。
キーワード:安定型処分場,管理型処分場,最終処分費用,環境修復,不適正処分
廃棄物学会論文誌,Vol.19, No.2, pp.120-130, 2008
原稿受付 2007.3.8 原稿受理 2007.12.25
* 九州大学大学院工学府都市環境システム工学専攻
** 九州大学大学院工学研究院環境都市部門
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九州大学 大学院 工学府 都市環境システム工学専攻 土田 大輔