【論文】
市販竹炭の吸着特性と細孔構造の推定
藤 井 隆 夫*・迫 田 章 義*
【要 旨】 モウソウチクを原料とする市販竹炭の吸着特性を気相吸着法で定量的に評価した。その結果,竹炭は吸着に関与する細孔容積が0.2mL/gあり,標準活性炭の30〜50%程度の吸着能力を持つことがわかった。また細孔直径0.6〜0.7nmの超ミクロ孔を有する分子ふるいカーボンであることがわかった。さらに炭化温度により細孔径が微妙に変化することを吸着速度の検討から明らかにした。これらを総合すると竹炭は成竹を炭化処理するだけで得られる機能性材料であり,資源の有効利用およびエネルギー消費の観点からも優れた特性を持ち,安価な吸着材として分子レベルでの分離操作への応用が期待できる素材である。
キーワード:竹炭,炭化処理,吸着,分子ふるいカーボン
廃棄物学会論文誌,Vol.19, No.3, pp.191-196, 2008
原稿受付 2007.5.9
原稿受理 2008.1.9
*東京大学生産技術研究所
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東京大学生産技術研究所 藤井 隆夫