【論文】

ごみ有料化の歴史的変遷
山 川   肇*・矢 野 潤 也**

【要 旨】 本研究では,ごみ処理事業の費用負担のあり方に関する研究の基礎として,戦後の有料化の変遷を明らかにした。戦後から現在までに実施されたごみ収集手数料に関する調査・資料をサーベイした結果,1)家庭ごみ有料化都市は,戦後10年間でほぼ皆無の状態から約50%まで大きく増加し,その後1960年代後半から10年間で約10%まで大きく減少した。さらに1990年以降約15年間で再び約40%まで増加した。2)事業系ごみを含むごみ処理事業の日本全体の手数料負担率は,無料化の進展にともない10%強から5%弱に減少した。3)無料化進展以前の1957年における定額制の手数料水準は173円/月・世帯であった(物価調整済み)。これは2000年の従量制有料化都市における家計負担試算額の2分の1程度となった。

キーワード:有料化,無料化,手数料負担率,費用負担,歴史
廃棄物学会論文誌,Vol.19, No.3, pp.212-224, 2008
原稿受付 2007.8.6
原稿受理 2008.1.23
*京都府立大学大学院 生命環境科学研究科
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京都府立大学大学院 生命環境科学研究科  山川 肇