【論  文】

韓国における使用済み電気・電子機器再活用と輸出の考察
鄭   城 尤*・吉 田 文 和**

【要 旨】 本稿では,韓国において,関連データが得られた使用済み電気・電子機器の輸出動向と国内制度との関係に焦点を当てて分析を行った。その結果および含意は,以下のとおりである。 1) 韓国では,生産者責任再活用制度 (拡大生産者責任) に基づく生産者による無料回収の実施後にも,生産者の回収ルートにのらないまま使用済み電気・電子機器の輸出が活発に行われている。中古品として輸出に回される量は,生産者の回収量全体に対して約75〜90%に相当する。 2) 国内回収のうち中古品輸出の割合が大きい品目であるテレビとパソコン類は,生産者による無料回収ルートにのらず,海外の需要状況と国内の供給状況 (製品機種の更新による排出量の増加など) に影響され,輸出が行われる傾向が見られる。 3) 制度設計との関連で,2003年から施行されてきた中古CRTに関する例外規定が,生産者と委託関係を結んだ中古CRT輸出業者による輸出を促進している。生産者により支給される委託処理費は実質的な輸出補助金として機能し,中古CRT輸出業者の輸出量を増加させている。

キーワード:使用済み電気・電子機器の輸出,生産者責任再活用制度,無料回収,委託処理費
廃棄物学会論文誌,Vol.19, No.4, pp.235-243, 2008
原稿受付 2007.5.15
原稿受理 2008.2.4
* 北海道大学大学院経済学研究科
** 北海道大学公共政策大学院
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北海道大学大学院経済学研究科  鄭 城尤