【論  文】

家電リサイクル法施行前後における不燃・粗大ごみ資源化状況に関する研究
李   博 洋*・樋 口 隆 哉**・浮 田 正 夫***・今 井   剛**・関 根 雅 彦****

【要 旨】 一般廃棄物の資源化・適正処理を一層進めるために,家電リサイクル法施行前後における不燃・粗大ごみの処理状況の変化について定量的な評価を行った。すなわち,家庭系不燃・粗大ごみ破砕選別施設を主対象として,破砕選別後の試料 (12回,延べ60試料) について手選別による組成分析を行い,物質収支の状況を調査した。その結果,法施行後における家電リサイクル施設を含めた不燃・粗大ごみ資源化状況の改善は,ガラス・プラスチックなどの回収率向上によるところが大きいことがわかった。また,焼却施設における,電池などの不燃物の混入由来の約8分の1は不燃・粗大ごみに由来するが,大部分は可燃ごみへの直接混入によるものであり,不燃・粗大ごみ処理システムの改善とともに,可燃ごみへの金属類を含む不燃物の混入を少なくする対策にも留意する必要がある。

キーワード:不燃・粗大ごみ,家電リサイクル,金属資源,焼却
廃棄物学会論文誌,Vol.19, No.4, pp.275-285, 2008
原稿受付 2007.6.6
原稿受理 2008.3.6
* 山口大学大学院理工学研究科 環境共生工学専攻
** 山口大学工学部循環環境工学科
*** 山口大学名誉教授
**** 山口大学工学部社会建設工学科
連絡先:〒755-8611 山口県宇部市常盤台2-16-1
山口大学工学部循環環境工学科  樋口 隆哉