【論 文】
廃ペットボトルとホタテ貝殻を原料とした複合材料の基本的特性
廣 瀬 孝*・菊 地 徹*・横 澤 幸 仁**・内 沢 秀 光*・櫛 引 正 剛*・奈良岡 哲 志*
【要 旨】 本研究は,リサイクルが求められている廃ペットボトルとホタテ貝殻を複合した新たな素材の基本的特性評価を目的として行った。具体的内容として,1) 加熱によるホタテ貝殻含有有機基質やホタテ貝殻の物性変化の確認,2) 複合した際の成形品表面の観察や黄色度およびその強度性能について,一般的にフィラー (充填剤) として用いられている炭酸カルシウムを複合した材料との比較を行った。その結果,加熱によるホタテ貝殻含有有機基質の熱分解に起因するホタテ貝殻の黄色度変化は,炭酸カルシウムのそれよりも大きいことがわかった。また,廃ペットボトルとホタテ貝殻を複合した材料の表面は,ホタテ貝殻に存在する有機基質の熱分解ガスに起因する発泡痕等は見られなかったものの,炭酸カルシウムと複合したものと比較して黄色度の高い成形品となった。強度性能は,ホタテ貝殻を複合した方が炭酸カルシウムを複合したものよりも高い値を示した。これらの結果より,廃ペットボトルとホタテ貝殻の複合材料は,炭酸カルシウムと複合したものと比較して,黄色度は高いものの表面に発泡痕等がなく,強度性能は高いことが明らかになった。
キーワード:新素材,廃ペットボトル,ホタテ貝殻,有機基質,複合
廃棄物学会論文誌,Vol.19, No.5, pp.310-317, 2008
原稿受付2007. 6.1 原稿受理2008. 4. 12
* 青森県工業総合研究センター
** 青森県工業総合研究センター 弘前地域技術研究所
連絡先:〒030-0113 青森県青森市第二問屋町4丁目11番地6号
青森県工業総合研究センター 廣瀬 孝