【論 文】
ファルカタ材からの炭素系吸着剤の製造とトリクロロエチレン除去への応用
吉 仲 賢 晴*・福 原 知 子*・長谷川 貴 洋*・岩 ア 訓*・安 部 郁 夫*
【要 旨】 廃木材のリサイクルが重要視されている中,生産量が増加している新たな木質系素材としてファルカタに着目し,炭化物を製造してそのトリクロロエチレン
(TCE) 吸着性能を評価した。ファルカタを様々な温度で炭化した結果,800℃炭化時にヨウ素吸着性能が極大となった。また,BET比表面積や細孔容積は900℃炭化で最大となり,それぞれ444m2
g-1,0.196mL g-1であった。また,TCE吸着性能は平均細孔径が最も小さくなった800℃炭化物で最大となり,市販活性炭よりも高い吸着性能を示した。市販活性炭に比べると比表面積や細孔容積の値で劣るファルカタ炭化物が市販活性炭よりもTCE吸着性能が高くなったのは,TCEの吸着に適した径の細孔が多かったためだと考えられ,比表面積や細孔容積の値だけでは,溶液中に低濃度で存在する有機化合物の吸着量を推定することは困難であることが確認された。これらの結果より,ファルカタから製造した炭化物はTCE汚染地下水の浄化に有効な吸着剤になりうることが示された。
キーワード:吸着剤,炭化物,ファルカタ,トリクロロエチレン,水質浄化
廃棄物学会論文誌,Vol.19, No.5, pp.340-346, 2008
原稿受付2007. 8. 23 原稿受理2008. 5. 15
* 大阪市立工業研究所
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大阪市立工業研究所 吉仲賢晴