【研究ノート】

一般廃棄物最終処分場における浸出水中のキノンバイオマーカーの動態
藤 田 昌 史*・今 井 健太郎**・辻   幸 志**・坂 本   康***

【要 旨】 キノンバイオマーカーを活用することにより,一般廃棄物最終処分場の安定化診断を行うことを想定して,晴天時,雨天時におけるキノンバイオマーカーの動態を調査した。晴天時では,5日間にわたり4回,調査を行ったが,キノンの流出量や組成には明らかな違いは認められなかった。一方,雨天時では,浸出水流量のピーク前後で,おもにQ-10の流出が相対的に増加したことにより,キノン組成が明確に変化した。そして,流量のピークに遅れて,キノン流出量が著しく上昇した。粒子状成分には,Q-10を含有するAlphaproteobacteriaが相対的に多く吸着しており,それがこの間の流出に寄与していた可能性が考えられた。その後は,流量の減少にともない,降雨前の状態に近づいた。

キーワード:最終処分場,一般廃棄物,浸出水,キノン,安定化指標
廃棄物学会論文誌,Vol.19, No.5, pp.347-351, 2008
原稿受付2007. 10. 24 原稿受理2008. 6. 2
* 茨城大学工学部都市システム工学科
** 山梨大学大学院医学工学総合教育部
*** 山梨大学大学院医学工学総合研究部
連絡先:〒316-8511 茨城県日立市中成沢町4-12-1
茨城大学工学部都市システム工学科 藤田昌史