【特 集:バイオマス系廃棄物の総合利用技術―バイオマス系廃棄物研究部会特集―】

コンポスト化技術に関する研究の現状と今後の展開
金 子 栄 廣*・中 崎 清 彦**

【要 旨】 コンポスト化はバイオマス系廃棄物の処理と資源化を同時に図る技術として古い歴史を持つ。しかし,反応の複雑さなどの理由から,その反応機構の科学的理解が立ち遅れてきた面がある。理解を深めることはこの技術をさらに改善,発展させる上で重要である。また,製品品質の向上は,この技術の普及促進を図る上で欠かせない。 本稿では,これら問題の克服を目指した研究に焦点を当て,それぞれの現状と今後の展開について述べた。反応の理解を深めるという観点からは,反応の数理モデル化とシミュレーション,ならびにコンポスト中微生物系の解析を取り上げた。また,製品品質向上の観点からは,生ごみ分別排出の徹底を促進するための生分解性プラスチック製ごみ袋の利用に関する研究,ならびに機能性コンポスト製造などに欠かせない特殊機能を持った種菌の利用と機能維持に関する研究を取り上げた。

キーワード:コンポスト,数理モデル,微生物解析,生分解性プラスチック,種菌
廃棄物学会誌,Vol.19, No.6, pp.264-270, 2008
原稿受付2008.9.19
* 山梨大学大学院医学工学総合研究部
連絡先:〒400-8511 山梨県甲府市武田4-3-11
山梨大学大学院医学工学総合研究部  金子 栄廣
** 静岡大学工学部物質工学科
連絡先:〒432-8561 静岡県浜松市中区城北3-5-1
静岡大学工学部物質工学科  中崎 清彦