【特 集:バイオマス系廃棄物の総合利用技術―バイオマス系廃棄物研究部会特集―】

バイオマス系廃棄物のバイオリファイナリー
――現状と展望――
高見澤 一 裕*

【要 旨】 バイオマス系廃棄物のバイオリファイナリーについて解説した。バイオリファイナリーはバイオマスのカスケード利用による付加価値の高い物質の生産やバイオマスのサーマルリサイクルやマテリアルリサイクルにおけるキー物質の生産について使われる。基本的な技術はバイオテクノロジーと化学反応である。そして,バイオマス中のセルロースやヘミセルロースから様々な反応の出発物質である糖の効率的加水分解抽出方法がキーとなる。そこで,ヘミセルロース分解酵素群による各種植物系廃棄物からのキシロースの抽出例について紹介した。すなわち,対象バイオマスの化学構造に基づいて,使用する酵素の種類と使用方法を検討することが大切である。最後に,日本でのバイオリファイナリーの研究例を述べた。日本では,バイオマス系廃棄物から機能性物質の分離精製に特徴がある。そしてバイオリファイナリーの将来展望を行った。

キーワード:バイオマス系廃棄物,バイオリファイナリー,バイオマス,セルロース,ヘミセルロース
廃棄物学会誌,Vol.19, No.6, pp.278-285, 2008
原稿受付2008.10.4
* 岐阜大学応用生物科学部
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