【論  文】

ごみ固形燃料の蓄熱危険性評価に関する研究
清 水 芳 忠*,**・若 倉 正 英*・新 井   充***

【要 旨】 2003年三重県RDF (ごみ固形燃料) 発電所のRDF貯槽において爆発事故が発生した。類似事故を未然防止するためには発生要因を解明するとともに,他の廃棄物への適応可能な危険性評価手法の確立が重要である。そこで化学物質の熱的危険性評価や化学プロセスの安全設計に利用されている,複数の熱分析機器を用いてRDFの低温領域から発火温度まで,発熱要因の解析と蓄熱発火危険性評価を行った。RDFは水との急速な混合による温度上昇の可能性があり,湿潤したRDFでは80℃以下の温度域で酸素を消費しながら,ゆっくりとした発熱反応が進行する。この発熱による温度上昇によって酸化速度が上昇し,条件によっては蓄熱が加速されて発火にいたる可能性が示唆された。廃棄物の不均一性を考慮した測定方法や測定条件を選択する必要とともに,化学発光分析装置や熱分析機器などを組み合わせることで有効な蓄熱発火危険性評価が可能となった。

キーワード:ごみ固形燃料,廃棄物火災,蓄熱,自然発火,化学発光
廃棄物学会論文誌,Vol.19, No.6, pp.382-391, 2008
原稿受付2007.6.14  原稿受理2008.6.30
* 神奈川県産業技術センター
** 東京大学大学院工学系研究科 化学システム工学専攻
*** 東京大学環境安全研究センター
連絡先:〒243-0435 神奈川県海老名市下今泉705-1
神奈川県産業技術センター  清水 芳忠