【研究ノート】
微量PCB含有油の焼却無害化処理条件の検討
小 口 正 弘*・浦 野 紘 平**・米 田 和 正**・折 戸 敢**・加 藤 み か**・小 林 剛***
【要 旨】 適切な無害化処理が求められている微量PCB含有油について,700℃から950℃の比較的低温度での室内焼却無害化実験を行い,一般的な廃棄物焼却条件での焼却無害化処理の可能性を検討した。その結果,微量PCBの焼却無害化においては,温度やガス滞留時間よりも炭化水素共存の有無の影響が非常に大きいこと,炭化水素が共存すれば,微量PCBは温度800℃以上,ガス滞留時間2秒以上の条件で,分解ガス中PCB濃度は作業環境評価基準の10万分の1未満,暫定大気環境基準の500分の1未満と極めて低濃度まで分解でき,99.9999%以上の高い分解率が得られることがわかった。この結果より,大量の炭化水素が必ず共存する微量PCB含有油は,安定した焼却条件での操業管理ができ,ダイオキシン類の副生も十分に低濃度に管理できる全国各地の産業廃棄物焼却施設において,確実に焼却無害化できる可能性が高いと考えられた。
キーワード:ポリ塩素化ビフェニル (PCB),微量PCB含有油,焼却無害化,ダイオキシン類,産業廃棄物焼却施設
廃棄物学会論文誌,Vol.19, No.6, pp.414-419, 2008
原稿受付2007.8.22 原稿受理2008.11.1
* (有)環境資源システム総合研究所
** 横浜国立大学大学院環境情報研究院/学府
*** 横浜国立大学安心・安全の科学研究教育センター
連絡先:〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-7
横浜国立大学大学院環境情報研究院 浦野 紘平