【論 文】
地方都市における自家処理の評価
――自家処理の実態把握とその環境的・経済的効果の分析――
田 畑 智 博*・井 原 智 彦*・中 澤 廣**・玄 地 裕*
【要 旨】 本研究では,岩手県県央地域を対象とし,ごみ細組成調査により自家処理の実施量や実施方法の実態把握を行った。また,地域のごみ排出特性やごみ処理構造を踏まえ,一般廃棄物処理システムからみた自家処理実施の環境的・経済的効果を評価した。ごみ細組成調査の結果,自家処理の方法の大部分は生ごみ類のコンポストであり,年間の家庭ごみ排出原単位は525g/(人・日),自家処理原単位は90g/(人・日) であった。自家処理世帯に着目した場合,現状ではごみ処理量の1.9%が自家処理されていること,さらにごみ処理量の6.9%を追加で自家処理可能であることを示した。これらを踏まえ,自家処理の実施方法に関する分析を行った結果,生ごみ処理容器で自家処理を徹底する場合,現状よりもGHG排出量を2.6%,最終処分量を6.2%,コストを6.5%削減できること,電動生ごみ処理機で徹底する場合,堆肥化時の電力消費の変動分が大きく,GHG, SOx, NOx,コストで不利になることが示された。
キーワード:循環型社会,自家処理,ごみ細組成調査,ライフサイクルインベントリ分析
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.20, No.2, pp.99-110, 2009
原稿受付 2008.5.7 原稿受理 2008.10.31
* (独)産業技術総合研究所 安全科学研究部門 社会とLCA研究グループ
** 岩手大学大学院工学研究科 フロンティア材料機能工学専攻
連絡先:〒305-8569 つくば市小野川16-1
(独)産業技術総合研究所 安全科学研究部門 社会とLCA研究グループ 田畑 智博