【論  文】

食に関するライフスタイル変化の環境影響評価
――廃棄物産業連関 (WIO) 分析の応用――
板   明 果*・高 瀬 浩 二**・近 藤 康 之***・鷲 津 明 由***

【要 旨】 2002年にUNEPで「持続可能な消費」が取り上げられ,2003年3月には日本政府が循環型社会の形成に向けたライフスタイルの見直しに言及するなど,家計の消費活動が直接・間接にもたらす環境影響評価についての関心が一層高まってきている。消費のなかでも特に食料消費に注目すると,近年,食の中食化 (調理済み食品の利用) や外食化がすすみ,女性の家事負担が低減している。その結果,余暇時間の増加等を通じて豊かな生活を享受できるようになった。その一方で,このような食生活の変化が環境負荷にどのような影響を与えるかが懸念される。本稿では,3つの極端な食生活パターンのシナリオ別 (完全内食型,完全中食型,完全外食型) に廃棄物産業連関 (WIO) を用いて環境影響評価を行った。内食が最も環境配慮的な食生活であるとの結果が得られた。この結果によると持続可能な消費行動として,消費者は内食型の食生活を送ることが期待される。

キーワード:食生活,廃棄物産業連関表,環境家計簿,マテリアルフロー分析
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.20, No.2, pp.119-132, 2009
原稿受付 2008.1.15  原稿受理 2008.11.16
* 東北大学
** 静岡大学
*** 早稲田大学
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東北大学 多元物質科学研究所 附属資源変換・再生研究センター  板 明果