【論 文】
バイオマスタウン構想実施事例における循環システムの評価
二 渡 了*・坂 本 直 子**・乙 間 末 廣*
【要 旨】 わが国では,バイオマス利活用推進を目的とした「バイオマス・ニッポン総合戦略」が策定されているが,十分な利活用がなされていないのが現状である。本研究では,バイオマスタウン構想が実施されている福岡県大木町,宮崎県小林市,大分県日田市のバイオマス施設へのヒアリング調査を行い,物質,経済,環境の視点から循環システムの評価を行った。さらに,北九州市若松区を循環モデル地区とし,都市部におけるバイオマス利活用の可能性を考察した。
3市町の循環システム運営による年間CO削減量は,大木町3.1ton,小林市529.2ton,日田市181.2tonであった。循環システム評価により,堆肥の利活用が可能であるという条件の下で家畜排泄物を堆肥化する循環システムが高効率であるということが明らかになった。
若松区循環モデル地区におけるCO削減量は311tonであった。賦存するバイオマスが生ごみ中心である都市部においても,環境負荷削減が可能であるということが明らかになった。
キーワード:バイオマスタウン構想,循環システム,物質収支,環境効率,経済性評価
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.20, No.2, pp.141-149, 2009
原稿受付 2008.4.10 原稿受理 2009.1.5
* 北九州市立大学国際環境工学部
** 北九州市立大学大学院国際環境工学研究科
(現在 イオン九州(株))
連絡先:〒808-0135 北九州市若松区ひびきの1-1
北九州市立大学国際環境工学部 二渡 了