【特 集:住環境とごみ―持続可能な住まい―】

「高断熱高気密住宅」と「風の通る家」は矛盾しない
松 原 斎 樹*・澤 島 智 明**

【要 旨】 日本の木造住宅の寿命が短いことはよく知られている。本稿では,住まいの寿命と建物の環境性能との関係について論じる。
 高断熱高気密住宅は,断熱・気密性能が高いという意味であって,風通しの良くない家ではないが,一般的には誤解も少なくない。本稿では,断熱気密性能の違いと住まい方の関係に関する実態調査結果を紹介する。冬期には,断熱気密性能の向上は生活の質の向上につながっているが,夏期には,必ずしも向上するとはいえない。
 また,断熱気密性能は住まいの評価基準として重要ではあるが,多くの評価基準の一つに過ぎない。住まいの寿命を長くするためには,断熱気密性能も含めた評価基準の総合的なバランスの良さが重要である。

キーワード:断熱気密性能,住まい方,温熱環境,愛着
廃棄物資源循環学会誌,Vol.20, No.3, pp.101-107, 2009
原稿受付 2009.5.21
* 京都府立大学大学院 生命環境科学研究科
** 佐賀大学文化教育学部
連絡先:〒606-8522 京都市左京区下鴨半木町1-5
京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 松原 斎樹