【論  文】

炭酸化反応を利用したALCのリサイクルと環境負荷評価
時 津 総一郎*・坂 井 悦 郎*・大 門 正 機*

【要 旨】産業廃棄物の約20% を占める建設廃棄物は,最終処分量の削減を目的としてリサイクル技術の開発が進められている。筆者らのグループは,現在再資源化が義務付けられておらず,かつリサイクル方法が確立されていないALC(軽量発泡コンクリート:Autoclaved Lightweight Concrete)に対して大気中のCO2を有効に作用させ,ALC内部のトバモライトを炭酸カルシウムと非晶質CiO2とし,これを800℃で焼成し,さらに水熱処理を施すことでトバモライトが再生可能であることを見出し,ALCのリサイクルが可能であることを立証した。またLCA調査および本リサイクル方法の経済性について検討を行い,その結果,廃棄物の削減および環境負荷の低減と事業化の両立化が可能であることを見出した。

キーワード:リサイクル,ALC,トバモライト,炭酸化反応,LCA調査
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.20, No.3, pp.161-170, 2009
原稿受付2008.4.21  原稿受理2009.1.5
* 東京工業大学大学院理工学研究科
連絡先:〒152-8552 東京都目黒区大岡山2-12-1-S7-9
東京工業大学大学院理工学研究科 材料工学専攻 無機環境材料講座 坂井 悦郎