【論 文】
廃木材から製造した木炭の吸放湿特性に及ぼす気温の影響
北 村 寿 宏*・石 飛 裕 司**
【要 旨】廃木材の有効利用の一つとして,廃木材から製造した木炭の調湿材としての利用を目的に,廃木材を原料に適正な方法で製造した木炭が良好な調湿剤として利用できる吸放湿特性を有していることを明らかにしてきた。
木炭を調湿材として住宅の床下や室内で使用する場合には,数〜35℃程度の気温下で使用されると想定されるため,廃木材から製造した木炭の吸放湿特性に及ぼす気温の影響を調査した。10,23,30℃のそれぞれの温度で湿度をステップ状に変化させ,木炭の質量変化として得られる吸放湿特性をステップ応答と仮定し,そのゲイン定数から吸湿性能と放湿性能を,また,時定数から吸湿あるいは放湿の速度を相対的に評価した。その結果,木炭の吸湿性能,放湿性能とも,同一試料では気温の影響を顕著に受けないことが明らかになった。また,同一試料では気温が高くなるほどステップ応答の時定数が小さくなり,吸湿・放湿の速度が相対的に速くなる傾向が見られた。
キーワード:廃木材利用,炭化,木炭,吸放湿性能,ステップ応答
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.20, No.3, pp.196-202, 2009
原稿受付2008.6.4 原稿受理2009.3.2
* 島根大学産学連携センター
** 出雲土建(株)
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島根大学産学連携センター 北村 寿宏