【特 集:廃棄物関連CDM事業】

コベネフィット・アプローチに関する日本の取り組みと今後の方向性
和 田 篤 也*

【要 旨】 気候変動問題については,2007年12月の気候変動枠組条約第13回締約国会合 (COP13,バリ会合) から2008年7月の北海道洞爺湖サミットに至る過程で国際・国内問題として大きく取り上げられ,現在,2009年末のCOP15 (コペンハーゲン) で合意を目指している「2013年以降の次期枠組み」について精力的な国際交渉が展開されている。交渉においては先進国と途上国の間の隔たりは大きく,その進展は芳しくない状況にあるといわざるを得ない。特に途上国の次期枠組みへの参加問題がその大きな要因となっており,このような中,途上国にとっても温暖化対策に取り組むインセンティブがあるとして注目されている「コベネフィット・アプローチ」について,これまでの経緯や日本としての具体的な取り組み,さらには今後の方向性について紹介する。

キーワード:気候変動問題,コベネフィット・アプローチ,温暖化対策と環境汚染対策,クリーン開発メカニズム (CDM)
廃棄物資源循環学会誌,Vol.20, No.4, pp.158-164, 2009
原稿受付 2009.6.10
* 環境省 水・大気環境局 水・大気環境国際協力推進室
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