【特 集:廃棄物関連CDM事業】

開発途上国廃棄物分野における気候変動対策への支援協力の課題
吉 田 充 夫*・森   尚 樹**

【要 旨】 JICAが実施する開発途上国廃棄物分野の気候変動緩和策に対する支援協力は,大きく4つに分けられる。すなわち,(1)埋立地の温室効果ガス排出削減支援,(2)中間処理による温室効果ガス発生ポテンシャル抑制支援,(3)廃棄物処理システム全体としての温室効果ガス排出抑制支援,(4)社会全体の廃棄物削減と低炭素化支援,である。CDM事業は主として(1)と(2)において実施されるが,開発途上国の持続可能な開発との両立を目指すとき(3)と(4)が必要となる。CDM事業を孤立的に実施するのではなく,途上国の包括的な廃棄物管理課題対処能力向上(キャパシティ・ディベロップメント)という課題の中に位置づけることが必要である。

キーワード:開発途上国,持続可能な開発,国際協力,キャパシティ・ディベロップメント
廃棄物資源循環学会誌,Vol.20, No.4, pp.187-196, 2009
原稿受付 2009.6.17
* (独)国際協力機構 (JICA) 国際協力専門員 (環境・廃棄物分野)
** (独)国際協力機構 (JICA) 地球環境部次長兼環境管理グループ長
連絡先:〒162-8433 東京都新宿区市谷本村町10-5
(独)国際協力機構  吉田 充夫