【論  文】

詳細解体による廃パソコン中の金属含有量の推定
白波瀬 朋 子*†・貴 田 晶 子*

【要 旨】 廃パソコンを詳細解体し,化学分析により40元素について全含有量を求めた。パソコン1台中の基板約1kg (電源基板を除く) には,Ag, Au, Pd, Al, Cu, Pbがそれぞれ,0.79, 0.14, 0.19, 91, 187, 17.8g含まれ,そのうちマザーボードに含まれる割合は,Ag, Au, Pdは58%,Cuは66%であった。廃パソコン11kgに含まれるAg, Au, Pd, Al, Cu, Fe, Zn, Nd, Pbの含有量はそれぞれ,0.79, 0.14, 0.19, 420, 320, 7,200, 77, 23, 20gであった。また,Ni, Sn, Sb, Mg, Mnは57, 28, 2.1, 1.6, 1.0gと推定した。含有量が0.02g以下の金属元素は,Co, Nb, Cd, Te, V, Ga, Sc, 0.01g以下の金属元素は,Se, Ta, As, Bi, In, Hf, Ir, Li, Pt, Tl, Y等であった。2004年の廃パソコンの発生量747万台から,年間に廃棄されるパソコン中の金属量 (廃製品から回収しうる最大量) を推定し,Au, Ag, Pdについてそれぞれ,1.1, 5.9, 1.4tonと見積もった。

キーワード:e-waste,資源性金属,有害性金属,金属含有量
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.20, No.4, pp.217-230, 2009
原稿受付 2008.2.7  原稿受理 2009.3.31
*† (独)国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター
現在 九州大学
* (独)国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター
連絡先:〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
(独)国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター  白波瀬 朋子