【論  文】

トルエン分解におけるパイロットスケール蓄熱燃焼装置の高効率化に及ぼす蓄熱・放熱条件の検討
飯 島 伸 介*・中 山 勝 也*・窪 田 光 宏**・松 田 仁 樹**

【要 旨】 本研究では,パイロットスケールの蓄熱燃焼装置 (Regenerative Thermal Oxidizer:RTO) を使用し,代表的な揮発性有機化合物 (Volatile Organic Compounds:VOC) であるトルエンの分解におけるRTOの熱交換特性を,処理対象ガス流量1,090〜2,550kg・h−1,トルエン燃焼温度973〜1,173K,蓄熱体充填高さ0.9〜1.5mおよびバルブ切換インターバル60〜180sの条件下で調べた。
 本実験結果より,トルエンおよび補助燃料LPGの燃焼熱量から算出した本RTOの熱交換効率は,処理流量1,810kg・h−1および蓄熱体充填高さ1.5mの条件下で約0.95の最大値が得られた。さらに,蓄熱体充填高さを1.5から0.9mにすると蓄熱体による処理対象ガスの予熱量が減少するため,トルエンの燃焼熱だけでRTOの運転継続に必要な熱量が得られる自燃濃度は340から530ppmに上昇した。

キーワード:蓄熱燃焼装置,蓄熱型熱交換器,熱回収,揮発性有機化合物,トルエン
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.20, No.4, pp.252-261, 2009
原稿受付 2008.8.8  原稿受理 2009.4.22
* 新東工業(株) 新東エコテックカンパニー 技術部
** 名古屋大学大学院 エネルギー理工学専攻
連絡先:〒464-8603 名古屋市千種区不老町
名古屋大学大学院 エネルギー理工学専攻  松田 仁樹