【特 集:マテリアルフロー・アカウンティング】

素材資源のストックアカウンティング
松 野 泰 也*

【要 旨】 近年,世界,とりわけ発展途上国における,鋼材等の素材の需要が急激に増加している。天然資源の消費を抑制し,循環型社会形成を推進するためには,使用済み製品からの素材の回収・リサイクルが重要である。そのような背景のもと,対象とする地域における素材の回収ポテンシャルを検討するために,製品として使用されている素材の蓄積量を推計する「素材ストックアカウンティング」が注目されている。素材ストックアカウンティングには,大別して1)トップダウン手法 (Top-down Approach) と2)ボトムアップ手法 (Bottom-up Approach) の2通りの手法がある。トップダウン手法では,素材の用途別消費量,貿易に関する経年データ,および製品の寿命分布を用いて推計する。一方,ボトムアップ手法では,対象とする地域での製品保有数と製品の素材使用原単位から推計を行う。本論文では,素材のストックアカウンティングの手法を説明し,事例研究を紹介する。

キーワード:素材ストックアカウンティング,トップダウンアプローチ,ボトムアップアプローチ
廃棄物資源循環学会誌,Vol.20, No.5, pp.221-226, 2009
原稿受付 2009.7.22
* 東京大学大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻
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