【特 集:マテリアルフロー・アカウンティング】

社会基盤素材を介したサブスタンスフロー
松八重(横山) 一代*・中 島 謙 一**・中 村 愼一郎***・長 坂 徹 也*

【要 旨】 膨大な量で社会蓄積が進む社会基盤金属素材は,銅線等の一部の導電材料や特殊用途を除けば,純金属の形態で存在していることは稀であり,大部分の社会基盤金属素材は何らかの他元素を含んだ合金の形で社会に存在し,使用されている。このことは,基盤金属素材の循環利用に伴って,随伴元素による汚染の問題,合金元素の散逸が起こり得ることを示唆している。このようなリスクを極小化するための基本情報として,基盤金属素材バルクだけでなく,随伴元素の挙動についても同時に十分に把握しておくことが重要である。本稿では,社会基盤金属素材として鉄鋼に注目し,わが国の鉄スクラップの循環の現状について,鉄鋼バルクのマテリアルフローと随伴元素のサブスタンスフローの両観点から分析を行った結果について述べる。

キーワード:サブスタンスフロー分析 (SFA),鉄鋼リサイクル,スクラップ,レアメタル
廃棄物資源循環学会誌,Vol.20, No.5, pp.227-236, 2009
原稿受付 2009.8.12
* 東北大学大学院環境科学研究科
** (独)国立環境研究所
*** 早稲田大学政治経済学術院
連絡先:〒980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-11-1005
東北大学大学院環境科学研究科  松八重 一代