【特 集:マテリアルフロー・アカウンティング】

携帯電話のフローとそこに含まれる金属の資源性
村 上 進 亮

【要 旨】 本稿では,マテリアルフローアカウンティングの中でも,その基礎情報を与えるものとして重要な位置にある,使用済み製品フローの捕捉について,携帯電話などを事例に検討を行った。より具体的には,携帯電話で良く話題に上る退蔵されているストックも含めた推計手法の整理を行った。それと同時に,家電リサイクル法対象品目を事例に,国際資源循環等のいわゆる見えないフローの捕捉に関しても議論を行った。また,携帯電話のデータについて,そこに含有される金属について資源性の観点からその価値を検討することで,こうした機器に含まれる貴金属類のリサイクルの重要性を再認識しつつ,その価値が消費者の考える価値と乖離している可能性を示唆した。

キーワード:使用済み電子機器,退蔵,携帯電話,都市鉱山,貴金属
廃棄物資源循環学会誌,Vol.20, No.5, pp.237-244, 2009
原稿受付 2009.7.31
* 東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻
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