【論  文】

使用済み家電混合プラスチックのマテリアルリサイクル技術
松 尾 雄 一*・遠 藤 康 博*・藤 田 章 洋*・小笠原 忍**・井 関 康 人***・長谷部 雄一****

【要旨】特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の施行により,家電4品目(冷蔵庫,洗濯機,エアコン,テレビ)に再商品化率が義務付けられ,その再商品化率の向上には,プラスチックのマテリアルリサイクルは重要な技術である。これまで,プラスチックマテリアルリサイクルの推進を目的に,家電リサイクルプラントに回収した手解体可能な部品(冷蔵庫・野菜ケース,洗濯機・水槽)を用いて,新材相当の物性まで回復させ,家電製品に適用してきた。本研究では,手解体の困難なプラスチック部品であり,埋立あるいは焼却処分されてきた“使用済み家電混合プラスチック”から選別回収したポリプロピレン(PP)リサイクル材の機械的特性および異物量を評価した結果,PPリサイクル材はPP純度99.8% 以上で,新材相当の機械的物性値および物性バラツキ(変動係数)を有し,家電製品に適用可能な材料であった。また,PPリサイクル材は,金属成分が微量残留しており,新材相当の耐熱性を得るためには,金属不活性剤の添加が不可欠であった。

キーワード:使用済み家電製品,プラスチック残さ,ポリプロピレン,機械的物性,異物
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 20, No. 5, pp. 303-310, 2009
原稿受付2007.8.20  原稿受理2009.6.12
* 三菱電機(株) 先端技術総合研究所環境・分析評価技術部
** 三菱電機(株) リビングデジタルメディア事業本部
*** (株)ハイパーサイクルシステムズ
**** 日本建鐵(株)
連絡先:〒661-8661 兵庫県尼崎市塚口本町8-1-1
三菱電機(株) 先端技術総合研究所環境・分析評価技術部  松尾 雄一