【論  文】

セメント系材料を用いた都市ごみ焼却飛灰の固化技術に関する研究
鈴 木 和 将*・藤 井 隆 史*・綾 野 克 紀**・小 野 芳 朗*

【要旨】本研究は,800℃程度の低温で焼却され,有害な重金属類を多量に含む一般廃棄物の焼却飛灰を,セメント系材料を用いて安全かつ適正に処理する方法を提案するものである。溶融化されていない一般廃棄物の焼却飛灰には,多量の金属アルミニウムが含まれており,セメントを用いて固化を行った場合には水素ガスの発生により,固化体は著しい膨張を生じる。本論文は,この水素ガスによる膨張を抑制するとともに,焼却飛灰に含まれる重金属類の溶出を微量に抑える固化技術の検討を行ったものである。本論文で提案する方法を用いれば,固化体の最終のかさ容積は,処理を行う前の焼却飛灰のかさ容積とほぼ同程度でありながら,鉛等の溶出量は,固化前に比べ2,500 分の1 程度に抑えることが可能である。本論文では,鉛による溶出試験に加え,バイオアッセイによっても固化体の安全性評価を行い,提案する固化方法の妥当性を示している。

キーワード:焼却飛灰,吸着性能,溶出試験,バイオアッセイ,溶銑予備処理スラグ
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 20, No .5, pp. 320-331, 2009
原稿受付2008. 2.8 原稿受理2009. 6. 12
* 岡山大学大学院環境学研究科
** 岡山大学廃棄物マネジメント研究センター
連絡先:〒700-8530 岡山市北区津島中3-1-1
岡山大学環境理工学部
藤井隆史