【論 文】
リサイクル行動の規定要因とその社会的便益
吉 田 友 美*
【要旨】本研究では,紙パックリサイクル行動の社会的便益を,個人トラベルコスト法(ITCM) を用いて推計するとともに,人々が自発的に紙パックリサイクル行動を行う要因について,カウントデータモデルを用いて分析した。結果として,人々のリサイクル行動の頻度は,社会的責任感の大きさ,社会規範の高さ,紙パック回収箱までの移動コストによって決まり,女性のほうが男性よりもリサイクル行動を行う傾向にあることがわかった。これにより,環境配慮に要する費用を削減することで,人々の行動をより環境配慮型のものへと導く可能性を示すことができた。また,紙パックを1 kg リサイクルすることによる消費者余剰は,234.79円であることがわかった。
キーワード:リサイクル行動,個人トラベルコスト法,カウントデータモデル,社会的責任感
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 20, No. 5, pp. 332 - 341, 2009
原稿受付2008. 8. 18 原稿受理2009. 6. 18
* 京都大学大学院農学研究科
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