【特 集:持続可能な廃棄物最終処分場のあり方―埋立研究部会特集―】

埋立地ガスと温度
――埋め立てが終了した処分場での調査事例を通して――
吉 田 英 樹*

【要 旨】 埋立地において,埋立地ガスの組成と温度は,内部での好気性・嫌気性微生物反応を反映する指標であり,安定化インデックスとして重要である。埋め立てが終了した処分場で,打ち込み型ガス抜き管を設置した後の埋立ガス組成と温度の測定事例について紹介した。一部のガス抜き管で好気性微生物反応の活発化による炭酸ガスの増加・温度上昇が起こっていることや,全体として嫌気性微生物反応が支配的であることを示すとともに,打ち込み型のガス抜き管では安定化促進の効果が限定的であることを示した。現在,多くの研究者によって行われている化学的・生物学的好気性反応導入による安定化促進事例についても紹介した。最後に温度の鉛直方向の分布や時間的変化を示し,安定化のインデックスとしての温度の重要性について示した。

キーワード:廃棄物処分場,埋立ガス,温度,好気性微生物反応,安定化
廃棄物資源循環学会誌,Vol.20, No.6, pp.283-286, 2009
原稿受付 2009.11.27
* 室蘭工業大学大学院工学研究科
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