【特 集:持続可能な廃棄物最終処分場のあり方―埋立研究部会特集―】

有害物質・溶出
――環告13号溶出試験の役割と課題――
肴 倉 宏 史*・宮 脇 健太郎**

【要 旨】 廃棄物最終処分場は,周辺環境に甚大な影響を及ぼさぬよう,十分な管理が行われねばならない。埋立廃棄物の性状については,有害物質の溶出性の観点から個々の廃棄物の最終処分の可否を判定するために,昭和48(1973)年環境庁告示第13号「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」(環告13号) が用いられている。本稿は環告13号の役割と課題について,最近の知見や情報を踏まえながらまとめたものである。廃棄物埋立地の環境安全性を担保するために,溶出試験による廃棄物の検査はこれからも必須であるが,循環型社会構築を目指し廃棄物有効利用を積極的に図る最近の動勢から,土壌や循環資源との境界とその往来があり得ることを意識した共通の考え方を構築しなければならない。

キーワード:溶出試験,産業廃棄物,特別管理廃棄物,金属,長期安全性
廃棄物資源循環学会誌,Vol.20, No.6, pp.287-291, 2009
原稿受付 2009.10.13
* (独)国立環境研究所\ 循環型社会・廃棄物研究センター
** 明星大学理工学部環境システム学科
連絡先:〒305-8506 つくば市小野川16-2
(独)国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター  肴倉 宏史