【論  文】

一般廃棄物焼却施設における有機ハロゲンの運転管理への活用
高 倉 晃 人*・渡 辺 信 久**

【要 旨】 一般廃棄物焼却施設排ガス中の有機ハロゲンの簡易な測定法とその運転管理への活用について述べた。2001〜2005年度に11のストーカ式焼却施設において10〜40Lの排ガスを吸着捕集した後,バリヤー放電ラジオ波ヘリウムプラズマ原子発光法により有機ハロゲンを測定した。低揮発性有機塩素と塩素化ダイオキシン類実測濃度の相関を調べた結果,メモリー効果によると考えられる影響のため,測定年度により相関式に違いが見られた。また塩素化ダイオキシン類TEQについては,数種の異性体に毒性の大小により重み付けがなされており,塩素量の換算に偏りがあるため,低揮発性有機塩素との相関は弱くなった。しかしながら,本測定法により有機ハロゲンの排出状況,排ガス処理装置の稼動状況,de novo合成の経日的な進行状況を簡易に把握することができ,施設での運転管理にとって有効であることがわかった。

キーワード:一般廃棄物焼却施設,ダイオキシン類,ガスモニタリング,中-低揮発性有機ハロゲン,運転管理
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 20, No. 6, pp. 383-393, 2009
原稿受付2007. 6. 20  原稿受理2009. 8. 20
* 大阪市立環境科学研究所
** 大阪工業大学工学部環境工学科
連絡先:〒543-0026 大阪市天王寺区東上町8-34
大阪市立環境科学研究所 都市環境担当 高倉晃人