【論 文】
メタンを指標とした不法投棄物・埋立廃棄物の掘削現場における有害ガス簡便モニタリング手法の検討
谷 川 昇*・古 市 徹*・石 井 一 英*・岩 崎 謙 二*
【要 旨】 不法投棄物や最終処分場の埋立廃棄物の掘削現場において,ハンディタイプオープンパス型メタン自動計測器によって連続計測したppmレベルの大気中メタン濃度を指標とする作業環境の有害ガス簡便モニタリング手法を提案し,掘削現場への適用可能性を検討した。
不法投棄現場や最終処分場から発生するガス中の有害ガスはメタンと共存すること,有害ガスとして注目されるのは硫化水素である場合が多いこと,硫化水素のメタンに対する濃度比の最大値は10−1程度であることを示し,大気中メタン濃度が発生ガス中の有害ガスの潜在的な危険性を安全側で評価する指標になることを明らかにした。
また,掘削現場での影響が懸念される硫化水素等の有害ガスの許容濃度,有害ガスのメタンに対する濃度比の最大値および安全率を考慮して設定したメタン濃度の管理値を計測値と比較する提案手法が,掘削現場の安全管理のためのモニタリングに適用できることを示した。
キーワード:メタン,オープンパス型計測器,最終処分場,有害ガス,硫化水素
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.21, No.1, pp.1-9, 2010
原稿受付 2008.5.13 原稿受理 2009.10.8
* 北海道大学大学院工学研究科
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北海道大学大学院工学研究科 谷川 昇