【論 文】
ポリ塩化ビニルのアミン添加による脱塩化水素挙動
長 田 文 夫*・永 井 和 代*
【要 旨】 ポリ塩化ビニル59.2%,フタル酸ジオクチル (以下DOPと略する) 29.7%,その他安定剤約12%から構成される軟質ポリ塩化ビニル (以下軟質PVCと略する) と,硬質ポリ塩化ビニルレジン (以下硬質PVCと略する) を,NaOH溶液濃度2〜16mol/L,マイクロ波加熱により,反応温度100〜200℃,反応時間0〜1時間で処理し脱塩化水素挙動を調べた。この時,梱包時に使用される緩衝材のポリウレタンを0〜0.2gそれぞれ添加した。反応温度190℃,2mol/L NaOH溶液,ポリウレタン0.02g添加,反応時間30分にて塩化物は98%除去でき,残渣は炭素と水素の化合物に転換されていることがわかった。反応後のNaOH溶液中から有機系アミンが検出され,ポリウレタンの加水分解由来のものと推察された。アミンにより脱塩化水素反応が促進されたと推測されるため,反応温度190℃,2mol/L NaOH溶液,反応時間30分にて,水和ヒドラジン,アンモニア水,トリメチルアミン,2-アミノエタノールを同様の条件で添加し脱塩化水素挙動を調べたところ,塩化物はそれぞれ最大99.6%,94.6%,96.3%,92.9%除去できることがわかった。アミンが共存することで,既知の方法よりNaOH水溶液の濃度は1/8の2mol/L NaOH溶液で行え,反応温度を下げることができ,脱塩化水素に有効であることがわかった。
キーワード:軟質PVC,硬質PVC,ポリウレタン,アミン,マイクロ波加熱
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.21, No.1, pp.19-29, 2010
原稿受付 2008.1.21 原稿受理 2009.10.9
* 日機装(株)インダストリアルソリューションズ工場 技術部開発グループ
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日機装(株)インダストリアルソリューションズ工場 技術部開発グループ 長田 文夫