【論　　文】

覆土膜構造を有する廃棄物埋立地の水分移動に関する研究
島　岡　隆　行*・小　宮　哲　平**・小　宮　直　子***
宮　脇　健太郎****・花　嶋　正　孝*****

【要　旨】　本研究では，セル工法の採用により埋立廃棄物が即日覆土で囲まれた「覆土膜構造」を有する廃棄物埋立地における水分移動現象を明らかにすることを目的に，覆土を施工した二次元大型埋立模型槽を用いて自然降雨による長期浸透実験および人工降雨による短期浸透実験を行った。また，不飽和浸透流解析により，覆土層の傾斜角度や配置が廃棄物埋立地の雨水浸透に及ぼす影響について検討した。
　セル工法で覆土を施工した場合，傾斜した覆土層が存在し，覆土層の下の廃棄物層へは雨水が浸透しにくく，廃棄物層内で水分移動の偏りが生じること，覆土層の傾斜角度が小さいほど雨水浸透の偏りが緩和されることが確認された。また，埋立廃棄物が成層していく場合，各層の覆土傾斜部の水平位置がずれることによって，雨水浸透の偏りが緩和されることが示唆された。

キーワード：廃棄物埋立地，即日覆土，覆土膜構造，雨水浸透，不飽和浸透流解析
廃棄物資源循環学会論文誌，Vol.21, No.2, pp.67-76, 2010
原稿受付 2008.10.22　　原稿受理 2010.1.21
* 九州大学大学院工学研究院環境都市部門
** 九州大学大学院工学研究院 附属循環型社会システム工学研究センター
*** 九州大学大学院工学府都市環境システム工学専攻
(現在　北九州市)
**** 明星大学理工学部環境システム学科
***** (財)福岡県環境保全公社 リサイクル総合研究センター
連絡先：〒819-0395　福岡市西区元岡744番地
九州大学大学院工学研究院環境都市部門
環境制御工学研究室　　島岡　隆行