【論  文】

1日1回給餌操作での豚糞の無動力撹拌低温メタン発酵特性
阿 部   眞*・日 高   平**・津 野   洋**

【要旨】 本研究では,小型発酵槽で豚糞を処理し,エネルギー源であるメタンガスを生産するために,26℃以下の条件での無加温低温メタン発酵の開発をガス圧の差による撹拌を実現する無動力撹拌方式のリアクターを用いて試みた。ミニブタの豚糞を基質として,1日1回給餌方式で連続実験を行った。安定なメタン発酵の状態である時には,pHは7程度に維持された。有機物負荷率0.1〜0.2kgCODcr/(m3・d)程度および26℃の条件下で,CODベースのメタン転換率60%程度,VSあたりのメタンガス発生量0.3〜0.4L/gVS程度が得られた。10℃でのガス発生量は,25℃でのガス発生量の約40% となった。これらの結果より,メタン発酵が安定して実現でき,実験期間中過度の固形性成分の蓄積もなく,無動力撹拌低温により運転エネルギー削減が可能であることが示された。

キーワード:低温メタン発酵,豚糞処理,1 日1 回給餌操作,無動力撹拌
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 21, No. 3, pp. 107-114, 2010
原稿受付2009. 5. 29 原稿受理2010. 3. 7
*(株)村田製作所次世代技術研究所
** 京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻
連絡先:〒615-8540 京都市西京区京都大学桂C1-228
京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻 日高 平