【論  文】

キノコ生産を核とした焼酎粕乾燥固形物の循環システムの構築
山 内 正 仁*・小 村 洋 美** ・山 田 真 義*・大 六 野  洋***・長 野 京 子****・内 田 一平*

【要旨】これまでに焼酎粕培地でエリンギ,ヒラタケの栽培試験を実施し,従来品より高付加価値なキノコを高収量かつ低コスト生産可能であることを明らかにした。しかしながら,焼酎粕培地でキノコを量産化するにあたり,培地水分率が高くなるにつれて培地の粘性が強まり,従来の瓶詰め装置での培地材料の充填が困難であるという工業的課題が残された。また,焼酎粕の地域資源循環システムを構築するためには,焼酎粕廃培地の利用法を検討する必要があった。本研究では,まず,蒸気(水分)注入穴あけ装置を開発し,従来の瓶詰め装置と組み合わせることで工業的課題を解決した。次に廃培地を利用した発酵混合飼料を調製し,緬羊による消化・採食試験を実施した。廃培地使用区では対照区と比較して消化率はやや低いが,可消化養分総量,乾物摂取量については有意差が認められなかったことから,廃培地を5〜10%混合した発酵混合飼料を家畜に給与することが可能であることがわかった。

キーワード:焼酎粕乾燥固形物,食用キノコ,廃培地,発酵TMR,資源循環
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 21, No. 4, pp. 155-164, 2010
原稿受付 2009. 8. 6 原稿受理 2010. 6. 14
*鹿児島工業高等専門学校都市環境デザイン工学科
**鹿児島県南薩地域振興局
***鹿児島県農業開発総合センター畜産試験場
****鹿児島県大隅地域振興局
連絡先:〒899-5193 鹿児島県霧島市隼人町真孝1460-1
鹿児島工業高等専門学校都市環境デザイン工学科 山内 正仁