【論 文】
廃PETボトルのマテリアルリサイクルにおける再生製品の強度保持の検討
平 野 勝 巳*・岩 崎 晋 久**・角 田 雄 亮*・菅 野 元 行*
【要 旨】 廃PETボトルは,リサイクル操作時の加熱によって分子量が低下するとともに強度も低下するため,バージンPET樹脂 (V-PET) を添加して分子量を保持しているが,これらの定量的な効果は明らかになっていない。そこで,V-PET添加によって分子量を調整したモデルを調製し,長繊維としての利用を想定してこれらの関係を検討した。その結果,骨格として作用する一定割合の高分子量PETを添加すると降伏応力は保持され,添加量を増加して一定の分子量を維持する必要がないことがわかった。一方,混在する低分子量PETが起点となって破断伸び率が低下するため,V-PET添加量を増加してもこれは維持できない。その対策として低分子量PETの分子鎖を擬似的に繋げるアイオノマー化は,破断伸び率の低下抑制に有効であることが明らかになった。
キーワード:廃PETボトル,マテリアルリサイクル,降伏応力,破断伸び率,分子量
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.21, No.5, pp.165-169, 2010
原稿受付2009. 4. 6 原稿受理2010. 7. 21
* 日本大学理工学部物質応用化学科
** 日本大学大学院理工学研究科
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日本大学理工学部物質応用化学科 平野 勝巳