【特集:容器包装プラスチックのリサイクルと今後】

小売業界からみた容器包装プラスチックの3R
上 山 静 一*

【要 旨】 容器包装リサイクル法が対象としているプラスチックのリサイクルについては,未だ多くの課題が顕在化し議論されている。本稿では消費者に最も近い位置の産業である小売業界の視点でこれまでの取り組みと最新状況,ならびに今後のあり方についてとりあげる。
容器包装の三大機能は内容物の保護,マーケティング機能としての情報提供,そして取り扱いの利便性であるが,その一方で単一素材化などの環境配慮の必要性も指摘されている。これらのバランスをどうとっていくのかという課題とともにリデュース施策の重要性も増加してきている。小売業界は40年程前から幾多の施策でこの問題に取り組んで来たが,常に地域の消費者,行政との連携を軸に展開し,社会の持続可能性を追求してきた。
現在の容器包装リサイクル法の課題は透明性,公平性の確保である。加えて再生プラスチックやバイオマスなどの植物由来プラスチックの普及を目指す企業に対するインセンティブ設計の必要性や,消費者への「環境配慮商品の選択への誘導策」の必要性に対する具体的制度設計の議論が今こそ求められている。

キーワード:DfE (環境配慮設計),連携,リデュース,グリーン購入,透明性・公平性
廃棄物資源循環学会誌,Vol. 21, No. 5, pp. 281-287, 2010
原稿受付2010. 7. 20
* 流通環境経営研究所
(元イオンリテール(株) 常務取締役環境・社会貢献担当)
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