【論 文】
高温高圧水による鋳物製造使用済み鋳物砂の再生および改質
橘 隆 一*・岡 本 正 勝**・仲 井 茂 夫***・藤 江 幸 一****・大 門 裕 之*****
【要 旨】鋳物製造工程から排出される使用済み鋳物砂について,高温高圧水による再生および砂表面の改質効果を検討した。炭素が1.2wt%,窒素が0.065wt%付着している使用済み鋳物砂を,水の臨界点以下である300℃,8.6MPaで,反応時間を60分,液固比を20として反応させたところ,炭素を30wt%,窒素を64wt%除去することができた。さらに,添加剤として過酸化水素を添加することにより,砂表面の炭素は65wt%,窒素は完全に除去することができた。一方,超臨界状態である450℃,40MPaでの反応では,添加剤を加えなかった場合,300℃,8.6MPaの場合に比べ,炭素と窒素の除去率に差は認められなかった。しかし,添加剤を加えた場合には,炭素を88wt%まで除去することができた。また,新砂を超臨界水で反応させたところ,砂表面の酸性度が約二倍に上昇したが,酸化剤の添加によるさらなる酸性度の上昇は認められなかった。
キーワード:鋳物砂,高温高圧水反応,超臨界水,廃棄物資源化技術
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 21, No. 6, pp.202-209, 2010
原稿受付2009. 9. 24 原稿受理2010. 9. 10
*長岡技術科学大学環境・建設系
**花王クエーカー(株)
***花王(株)
****横浜国立大学大学院環境情報研究院
*****豊橋技術科学大学環境・生命工学系
連絡先:〒441-8580 愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1
豊橋技術科学大学環境・生命工学系 大門 裕之