【論  文】

白色腐朽菌・乳酸オルガノソルブ複合処理によるスギ材の酵素糖化
馬 場 保 徳*†・田 邊 俊 朗*††・渡 邊 崇 人*・本 田 与 一*・渡 辺 隆 司*

【要 旨】難分解性の針葉樹にも対応できる低環境負荷酵素糖化前処理法の開発を目指し,スギ材に対して,リグニンを高選択的に分解する白色腐朽菌処理と,乳酸,酢酸などの有機酸とエタノール,グリセロール,プロピレングリコールなどの溶媒系の組み合わせからなるマイクロ波ソルボリシス複合処理を試みた。白色腐朽菌Phellinus sp. SKM2102は,エタノリシス後酵素糖化によって得られる還元糖の収率を最大で5倍以上増加させた。バイオマスからの生産が可能な安全性が高い有機酸,アルコールの組み合わせでは,エタノールと乳酸を組み合わせたソルボリシスが最も高い酵素糖化前処理効果を示した。

キーワード:スギ,前処理,白色腐朽菌,酵素糖化,乳酸
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 21, No. 6, pp.219-225, 2010
原稿受付2009. 12. 18 原稿受理2010. 9. 16
*京都大学生存圏研究所
*†京都大学生存圏研究所
現在東北大学大学院農学研究科先端農学研究センター
環境システム生物学分野
*††京都大学生存圏研究所
現在国立沖縄工業高等専門学校
連絡先:〒989-6711 宮城県大崎市鳴子温泉字蓬田232-3
複合生態フィールド教育研究センター東北大学大学院農学研究科
先端農学研究センター環境システム生物学分野  馬場 保徳