【論 文】
人工素材海浜ごみに対する台風の影響
岡 野 多 門*・安 本 幹*・安 東 重 樹*
【要 旨】海洋浮遊ごみの多くが陸上から流出しているといわれるがそれを分析的に証明した例はない。ここでは台風が多く襲来した2004年と台風の影響がなかった2008年の鳥取県の海浜ごみを比較し,河川から流出したごみの海浜への影響を検討した。2004年5月から12月までの海浜ごみ数は2008年の約1.7倍であるが,これらの台風は中国・台湾由来物を減らし,由来地域不明物と日本由来物を増加させた。8〜9月期の台風の降雨は少なかったが,河川から多くの飲料容器が流出し,河口近傍の海浜に漂着した。河口遠方では砂中に埋没していた小型高比重ごみが高波によって洗い出された。10〜11月期の台風は豪雨を伴ったが海浜ごみの総数は8〜9月期と同程度であり,河川由来ごみは河口からの流出水によって遠方の海岸まで達した。夏期の少雨台風に比べて秋台風では農薬容器や界面活性剤容器が多く,飲料容器とこれらの放置場所に偏りのあることがわかる。
キーワード:人工素材海浜漂着ごみ,台風,河川水位,陸上ごみ,海浜埋没ごみ
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 21, No. 6, pp.226-235, 2010
原稿受付2009. 12.4 原稿受理2010. 10. 7
* 鳥取大学大学院
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鳥取大学大学院工学研究科 岡野 多門