【特 集:循環型社会,低炭素化に応える都市ごみ焼却処理―焼却研究部会特集―】

分別等の取り組みが焼却処理におけるごみ量・ごみ質へ及ぼす影響
西 谷 隆 司*・山 内 淳 行**・永 山 貴 志***

【要 旨】 わが国では,経済成長が進む中で急速に増大し続ける都市ごみを適切に処理するために,焼却処理がその中心的な役割を担ってきた。しかし,資源の消費と環境の負荷への限界が意識され,社会の持続的発展が危ぶまれるに至り,それまでの社会全体のシステムの転換が迫られることとなった。各自治体においても,分別等の導入が急速に広がった。焼却ごみの量と質も,導入された分別等の施策に応じて変化することとなり,ごみ焼却施設の役割についても,システム全体の中で検討される必要がでてきた。そこで,分別等を先進的に取り組んでいる自治体でのごみ量やごみ質の変化を整理し,分別等の施策が焼却ごみにどのような影響を及ぼすのか推計した。その結果,今後10年で,焼却ごみ量は20%程度の減量となり,その組成については可燃ごみが減少するが,発熱量は8,000kJ/kg程度までの減少にとどまると見込まれた。

キーワード:都市ごみ焼却施設,分別回収,ごみ量,ごみ質,発熱量
廃棄物資源循環学会誌,Vol.21, No.6, pp.347-357, 2010
原稿受付 2010.10.15
* 大阪市立環境科学研究所
** 中日本建設コンサルタント(株) 環境技術本部
*** (株)クボタ 環境リサイクルプロジェクトチーム
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大阪市立環境科学研究所  西谷 隆司