【特 集:循環型社会,低炭素化に応える都市ごみ焼却処理―焼却研究部会特集―】

ごみ発電の観点からみたごみ処理の広域化
小 北 浩 司*・増 田 孝 弘*

【要 旨】 都市ごみ処理が循環型社会・低炭素社会に貢献するためのひとつの手段として,ごみ発電があげられる。ごみ発電の総発電能力は年々向上しているものの,2008年度時点で1,615MWにとどまっており,高効率ごみ発電の導入によるさらなる総発電能力の向上が望まれている。高効率ごみ発電のひとつの手段として,広域化による施設の集約が考えられるが,一方で,広域化には地域性や制度面などのさまざまな課題もある。
本稿では,ごみ処理の広域化に関して,ごみ発電の視点に重きを置いた望ましい姿を提示するとともに,現実面の課題の整理を試みた。また,近畿2府4県をモデル地域とし,広域化の検討を行った結果,中継輸送が必要になるものの発電量,CO2排出削減量,コストの面でメリットがあることがわかった。

キーワード:ごみ発電,広域化,中継輸送
廃棄物資源循環学会誌,Vol.21, No.6, pp.358-367, 2010
原稿受付 2010.10.15
* (株)タクマ
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(株)タクマ プロジェクトセンター環境技術1部2課  小北 浩司