【論 文】
使用済みペットボトルの独自処理の実態分析
栗 田 郁 真*
【要旨】容器包装リサイクル法の下で,市町村が,分別収集した使用済み容器包装を指定法人に引き渡さずに,独自処理を行う事例が近年増加している。本研究では,使用済みペットボトルの独自処理の価格および諸条件を把握・分析するために,全国の市町村を対象にアンケート調査を行った。独自処理の引渡価格は,全体の傾向として,法律施行直後3 年間は有償で取引され,次第に価格が下落し逆有償となった後,2005年度以降再び有償で取引される推移が見られる。独自処理の諸条件について,価格面の理由から独自処理を選択する市町村の引渡価格が高い一方で,地元業者の育成・支援を重視する市町村の引渡価格は相対的に低い。後者の市町村や指定法人に引き渡すために必要な施設を有していない市町村では,たとえ指定法人に引き渡した場合に得られる金額が独自処理の場合を上回ったとしても,独自処理を継続する可能性がある。
キーワード:容器包装リサイクル法,ペットボトル,独自処理,指定法人
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol. 22, No. 1, pp. 61-70, 2011
原稿受付2009. 5.7 原稿受理2010. 11. 16
* 京都大学経済研究所先端政策分析研究センター
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