【論 文】
有害物質管理と資源回収の観点からの金属スクラップ (雑品) 発生・輸出の実態解明
寺 園 淳*・林 誠 一**・吉 田 綾*・村 上 進 亮***
【要旨】金属スクラップ (雑品) は産業系と家電・OA機器系が別の形態で流通し,ほとんどが鉄スクラップとして,年間推定130万〜200万ton程度中国へ輸出されている。有害物質管理・資源回収の観点から,金属スクラップの発生・輸出の実態を解明するために,品目・組成の調査などを行った。約10tonのサンプルを合計3回実施した品目調査の結果,概して産業系が70%以上と多い一方,回収業者からの集荷が多い場合は家庭系が半分以上と多いこともあった。石油器具やプラスチック分の多い家電類については,安全で効果的な資源回収を国内で検討すべきである。電気電子機器によっては,ハンダ・メッキなどに含有されている鉛が検出され,バーゼル法の規制基準を超過する場合があった。エアコン内にCFC12が残留していた例を確認し,フロン回収徹底の必要性を指摘した。国内の機械破砕・選別を用いることで,品目によって効率的な資源回収ができる可能性があるが,ダストの削減が課題と考えられる。
キーワード:金属スクラップ (雑品),輸出,品目・組成調査,有害物質,バーゼル法
廃棄物資源循環学会論文誌,Vol.22, No.2, pp.127-140, 2011
原稿受付 2010.7.22 原稿受理 2010.12.9
* (独)国立環境研究所
** (株)鉄リサイクリング・リサーチ
*** 東京大学大学院
連絡先:〒305-8506 つくば市小野川16-2
(独)国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター 寺園 淳